今手元にある手札でいかにして幸せになるか。
今回の宮古島往復と北海道行きに関してはそれぞれ飛行機代を出してもいいよという神様が現れて優雅に飛行機で移動をさせていただいた。普段、遠方への移動はほとんどヒッチハイクの僕としては、到着時間の予測が着く安心感とスピード感を存分に味わった。
土地にはそれぞれ違った匂い(雰囲気)がある。海外など行くと匂いの違いがあからさまに違うので気付きやすいのだが、ここ北海道にも匂いがある。
初北海道なのだが、なんというか、すごく懐かしい感じがする。どこかに似ていると感じるがそれがどこだか思い出せない。
うまく言えないが、ここ十数年間で日本に無くなってしまったものがここにあるような感じだ。僕にとってはおじいちゃんが亡くなる前に過ごした時間に感じていた匂いがあるような気がしている。
これから札幌のゲストハウスWayaというところで給料の代わりに寝床と食べ物を頂く形で10日間働く。家なし生活をしている僕にとってこの先10日間も寝るところがあるというのはとてつもない安心感をもたらすとともに、毎日同じところにいて自分がダラけてしまわないか心配もしている。
【直近の過去記事】
現状の説明はこの辺にしておいて、今回は昨日まで6日間を過ごした宮古島での印象的だった出来事を書きたいと思う。
宮古島を離れる予定の日の前日、ウミガメにどうしても会いたいと思い、同じ鉄砲玉メンバーのりゅうを連れてわいわいビーチというところに向かった。事前に知り合った現地の人に聞いた場所で、その人が言うにはウミガメ遭遇率100%だと言う。
そんな僕の中では完全レアキャラのウミガメとの遭遇率が100%。かなりの期待を込めて現地に向かった。
わいわいビーチに向かう途中、その辺りの他のビーチでもウミガメが見れるということを聞きつけ、近くのビーチにも立ち寄ったが、そこはリゾート地化されて人間の手が入った感がすごくあり、場所自体に気持ち悪さを覚えた。一応シュノーケル用品を借りて海に入ろうとしたが、ゴーグルだけ(ライフジャケット付き)で2100円だという。ライフジャケットは要らないが、有りでも無しでも値段は変わらないと言う。
島の北側の相場が500円〜700円だった(3500円ほどで新品が1つ買える)だけにこれは借りる気がしないとその場を離れた。
たまたま話しかけた人に、わいわいビーチでもゴーグルを借りる場所は無いと言われ、かなり残念な感じでわいわいビーチにたどり着いた。そして、海に向かって歩いたその時!!角の一角にぱっと見だけだとホームレス小屋と言われてもおかしくないような空間があり、そこにシュノーケル用のゴーグルが雑に並べられていた。
そこにいたおじさん(自称タケちゃん(推定65歳)に話しかけたら、「俺は他と違ってお金目的でやってないからこれでいいよ。」と手で5を表した。
小銭が無かったために千円札を差し出したら、お釣りが無いと言われ、「この千円でここにあるもの全部好きに使っていいよ。」と言ってきたのでそれに乗ることにして、フィンを追加で2人分借りることにした。
万全の装備で泳ぎだした僕たちは、「なかなかカメいないね。」などと言いながら30分弱泳いだ後に、やっと1匹目のウミガメを見つけることができた。
不思議なことに、海中で魚を見つけたときは、「あぁ魚がいるな。」と思うのだが、ウミガメを見つけたときは、「おぉ、ウミガメと出逢った。」というなんというか、『初めまして感』がある。
そんな感動に浸りながら見つけたウミガメと一緒に泳いでいるうちに、2匹目のウミガメと出逢った。そしてその後の30分で6匹のウミガメと出逢った。
ウミガメはもうお腹いっぱい見たなぁと思って陸に上がると救世主のタケちゃんが待ち受けていた。
その後僕たちは結構長い間ただただくだらない話をした。
タケちゃんの話は5割がダジャレで、2割が下ネタで、1割が深いい話だ。
残りの1割は訛りが酷くて何を言ってるかわからない。
タケちゃん(以下タ)
「ちょっと俺にどこの中学出たか聞いてみて」
僕「どこの中学ですか」
タ「アル中」
僕「。。。。」
タ「ギャハハハハ」
「今度高校聞いて」
僕「高校どこですか」
タ「親不孝」
僕「。。。。」
タ「ギャハハハハ」
「今度大学聞いて」
僕「どこの大学ですか」
タ「東大」
僕「え!?マジすか!?」
タ「いや、その東大じゃなくてこっちの灯台」
僕「。。。。」
タ「ギャハハハハ」
、とまあこんな具合でとても楽しい会話が繰り広げられた。
続けて、
タ「今度年齢聞いて」
僕「年齢は」
タ「天才」
僕「。。。。」
タ「ギャハハハハ」
「じゃあ沖縄県は何歳かわかる?」
僕「ハイサイ」
タ「ギャハハハハ」
「君はなかなかやるね」
僕「。。。。(いや、この流れ誰でもわかるだろう)」
(ここで水着の美女が遠くに現れる)
タ「こんな時のためにコレがあるんだよ」
タケちゃんはおもむろに双眼鏡を取り出した。
タ「うへへへ、最高ぅぅ」(推定65歳)
「おまえも見るか?」
僕「いや、僕は目がいいので大丈夫です。」
タ「ギャハハハハ。おまえはなかなかやるねぇ」
「沖縄県は何歳ですか?」
僕「ハイサイ」
タ「ギャハハハハ」
こんなくだらない話をずいぶん長いことした。
そんなタケちゃんがふとした瞬間に自分の人生観みたいなものを語りだした。
タ「お金のことばっか考えて生きてたら面白くないよな。」
「今あるもので幸せだと思えない人はその後なにをやったって幸せにはなれんよな。」
「俺にとってはここにはなんでもある。だから俺は幸せよ。」
的なことを言っていた。
お世辞にもこのタケちゃんがお金持ちには見えないし、普通の人が普通に想像する幸せとはかけ離れているだろう。
でも彼は自分のことを幸せだと言い切った。
今自分のことを幸せだと言い切れる人はどれだけいるだろうか。
この世界は何かを手にすることによって幸せになるようなことはなく、もうすでになにもかもある。と、そう思い込むことができたときに幸せだと感じるのではないかと思う。
俺の手札はなんだ?
決して柄のカードは多くはない気はするがこれで今世は十分戦える。(ような気がしている)
そんな風に僕が考え込んでいると、タケちゃんはいつの間にか消えていて、ハッと遠くを見たら自分で採ってきたグァバをネタに水着の女性2人組をナンパしていた。
(あなたこそなかなかやるね。)
僕はそう思った。
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